ゲームジャンル紹介:トリックテイキング系ゲーム
日本では馴染みがありませんが、「トリックテイキング系ゲーム」という、深い駆け引きが楽しめる、独特の手順で行なうカードゲーム遊びの人気ジャンルがあります。国ごとに細かなルールは違えど、欧米ではこの「トリックテイキング系ゲーム」に属するゲームが比較的ポピュラーなことと、基本的な仕組みはとてもシンプルであることから、たいへん人気があり、派生系と呼べるようなカードゲームもたくさん存在します。
さらに、ゲームによっては、「これは○○の○○が特徴のトリックテイキング系ゲームです。」と、トリックテイキング系ゲームに対する予備知識が当たり前のように書かれているものもあったりします。
2015年6月9日現在でも、すごろくや販売している中で「トリックテイキング系ゲーム」と呼べるゲームはこれだけあります。
- ヴァス・シュティッヒ
- オツカイフクロウの苦労話
- コバンいただき
- 5本のキュウリ
- スカルキング
- とりっく&でざーと
- ペッパー
- ポテトマン
- 落水邸物語
これほどまでに「一度解った人」には面白がられているわけですが、一方で、日本ではまったく馴染みがない「トリックテイキング系ゲーム」の面白さがよく解らない人にとっては、たくさんありすぎることもあり、敷居が高く感じられ、とても手出しがしづらいものです。
そこで、いったいどこが面白いゲームなのか、また初めて遊ぶならどんなものがいいのかをご紹介します。
もともとの起源もあって、基本的なトリックテイキング系ゲームのほとんどは、主にトランプで遊べるものです。戦略系のトランプゲームとして『ナポレオン』や『コントラクトブリッジ』、『ハーツ』などをご存知の方もいるでしょう。これらもトリックテイキング系ゲームです。
ランダムに手札として配られたトランプを持って始め、〈各自、手札から選んだ1枚だけを手元に提示し、その中でより強いカード(2が最弱でAが最強)を出した人が勝ち〉という小勝負(これを「トリック」と呼びます)を繰り返して集計する、というのがトリックテイキング系ゲームのおおまかな手順の特徴です。
繰り返す前提で、小勝負(トリック)をどのように勝ち取っていく(テイキング)か、です。
とはいえ、手順だけだと何が面白いのかよく解りません。
駆け引きのポイントはいくつかありますが、ひとつは〈カードは使い捨てで補充できない〉ことです。
ある小勝負(トリック)において、かなり強いカードを出して勝ち取ったとしても、そのカードはもう二度と使えませんし、補充もできません。さらに、そのカードはもう出てこないということをライバルに知らせてしまいます。どんどん手札が減って選択肢が狭まっていくことを念頭に、本当に勝負すべき小勝負(トリック)はいつなのかを見極めて、計画的に手札を減らしていく必要があるのです。
また、〈マークの縛り〉も重要です。
1人1枚ずつ出すにあたって、最初に出されたカードの♠♣♥♦のマークが、以降の〈出さなければならない〉カードのマークを決める、という独特のルールがあります。このため、最初に出す人以外は、手札はたくさんあるのに、いつもその中のほんのわずかしか選べません。
また、毎回の小勝負(トリック)の勝利判定は、その縛りマークのカードだけが対象となります。もし、そのときの縛りマークが手札になくて出せなかったときには、やむなく他のマークのカードを出さなければならず、しかも確実にその小勝負(トリック)では負けです。いったんそのことを察知されようものなら、立て続けにそのマーク縛りを狙われるかもしれません。
この〈特定マークが出せなかったときにだけ他のを出す〉という、トリックテイキング系ゲーム独特の、他のゲームでは馴染みのない作法が、「それを間違えたらどうなるの?」「他の人のズルを見抜けないわけでしょ??」とモヤモヤしたまま、計画性につながる面白さを理解する上で「よく解らない」と障害となることがたいへん多いのです。
そこですごろくやでは、「無いので。」の宣言を強くおすすめしています。特定マークが出せなかったときに、本当に手札にそのマークが無く、不正をしていないことを他全員に知らしめ、それ以上に自分自身への確認の意味で『無いので。』と言いながら出してみてください。たったこれだけのことですが、とてもスムーズに遊べるようになるはずです。
それでも不安な方は、こう捉えてみてください。
もし、ミスがあったとしても、見抜けないレベルで拙い駆け引きをしているならば、問題ありません。もし、理解が進み、計画性や駆け引きが高度になってくればくるほど、全員がその駆け引きの妙を楽しみたいがためにミスや不正は起こりません。もし、意図しないミスがあったとしても、それは駆け引きの前提に「ズレ」を生むため、すぐ判るものです。
その他の駆け引きポイントとして〈出す順番〉も大事です。
前回の小勝負(トリック)を勝ち取った人が、新たな小勝負(トリック)で最初にカードを出す人になります。最初に出す人は縛りマークを決められますので、ぜひ狙っていきたいところです。でも、1人1枚ずつ出すにあたり、最後に出す人ほど、それまで出されたカード状況を見た上で選択できる利点もあります。何を出すとどうなるか、を考えて、順番もうまく操っていきましょう。
トリックテイキング系ゲームにおいて、小勝負(トリック)を何回勝ち取れるかは、配られたときの手札の善し悪しが大きく影響します。
そのため、ゲームによっては、〈何回勝ち取れるか〉を各自にあらかじめ予告させてそれを達成できるかどうか、や、勝ち取ったときに総取りしたカードに含まれる特定のカードが重要なもの、また、相談できないペア同士でうまく立ち回るものなど、初期手札の偏りに左右されないようなルールバリエーションで駆け引きの幅を生んでいます。
初めてトリックテイキング系ゲームを楽しく遊ぶなら、次のようなことを気にしてみると良いでしょう。
- 複雑なルールや変則ルールが少ない、シンプルなトリックテイキング系ゲームかどうか。
- 不満を持たれたり、気まずくなったりするような他の人への影響が少ないゲームかどうか。
- 駆け引きを同じレベルで楽しめるようなメンバー構成かどうか。
初めてのトリックテイキング系ゲームとして、すごろくやのスタッフでもよく遊ばれている、トランプで遊べる『アルティメット / Ultimate』をおすすめします。
このゲームは、初期手札の状況を鑑みてとてつもなく有利な状態を勝ち取った親1人の孤独な健闘と、親の予告得点を取らせまいと頑張る他全員の連携プレイが特徴です。1対多で大いに盛り上がる中、連携プレイで徐々にカードの出し方が解ってくることでしょう。
もしも面白さが少しずつ解ってきたなら、トランプで遊べる他のルールや、前述のトリックテイキング系ゲームもぜひ試してみてください。ゲームの新しい面白さに気付いていただければ嬉しく思います。
参考:
- トランプ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/トランプ - トリックテイキングゲーム - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/トリックテイキングゲーム - ゲーム研究家・草場純さんの考察「トリックテイキングの宇宙」
http://kusabazyun.banjoyugi.net/Home/reproductioned/trump/trick-taking
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